パールスノーの伝説
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青く美しい海に ・・・
真珠の涙と呼ばれる雪が降るのを知っていますか ?
光の届かない漆黒の深海に ・・・
淡い白い光を灯して ・・・
ゆっくりと ・・・静かに降る雪を ・・・
誰にも ・・・気づかれることもなく ・・・
儚く消えて行くことを ・・・
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お裁縫箱の国の中央に聳える、おとうふ山の頂きから
南の方角に青く美しい海が見えます。
キラ キラ キラ キラ
美しいサンゴ礁に覆われた ・・・
キラ キラ キラ キラ
エメラルドグリーンの海面が ・・・
キラ キラ キラ キラ
日の光を浴びて ・・・
キラ キラ キラ キラ
黄金色にキラキラ輝いています。
「あっ! 七色の海岸?」
梵念は、初めて見る美しい七色の虹の、砂の浜辺に驚いています。
「わーっ! 相変わらず、 綺麗ね!」
マチバの感嘆の声が聞こえます。
「景色も良いし、空気も美味しい!
何年たっても、何も変わらない!」
カタンの清々しい声も聞えます。
「ほんとだ! 久しぶりだよ! 小さい頃、よく遊んだよな!」
元気いっぱいのヌッキーが、嬉しそうに言います。
カタン達一行は、木っ端天狗に貰った宝物を持って、
おとうふ山の頂上付近まで登ってきていました。
ヌクマル ・ マゼンダ ・ アシダは ・・・
急な坂道や危険な岩場を、梵念に合わせて
歩いて登ってきたので、クタクタでぐったり伸びています。
「梵念! ここなら、釣りができそうだ!」
ヌッキーが、ポケットから釣竿を出します。
「さっそく試してみようか? きっと、心細い思いをしているよ!
まずは、軽いイグサから。」
梵念が、美しい景色に見とれながらも冷静に言います。
「大丈夫かしら・・・・?」
マチバが、心配します。
「きっと、大丈夫だよ! 文殊の木の宝物だから!」
カタンが、笑顔で答えます。
「では、始めるよ!」
ヌッキーが、手のひらに木っ端天狗に貰った釣竿を乗せると ・・・
「イグサが、釣れますように!」
と、大きな声で言いました。
すると、釣竿がカタカタ動き始め、ヌッキーの手のひらに、
ぴったりと収まる大きさに変わりました。
そして、釣り糸が伸び始め、クルクル回ると糸の先に付いていた
釣り針が、ポーンと飛んで空中に消えて見えなくなりました。
~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~
モア モア モア モア
気が付くと ・・・
モア モア モア モア
淡く白く光る霧の中で ・・・
モア モア モア モア
佇んでいる自分に ・・・
モア モア モア モア
驚いている自分がいる事に気が付きました。
「サミー! どうしたの?」
「あっ!」
シュンソクの声に、びっくり!
慌てて辺りを、キョロキョロ見回します。
おとうふ山の麓の卯の花草原で、イグサを見かけてから
迷いの国へと歯車が、回転してしまったのです。
現実の国と夢の国との間にあると言われている
幻の空間 ・・・然る魔の国(しかるまのくに)で
白いおとうふの魔法に縛られ身動きができないでいた、
サミーとシュンソクです。
「白い霧に ・・・包まれていたら ・・・」
また、黙り込むサミーに ・・・
「どうしたの? さっきからおかしいよ!」
シュンソクが、心配して聞きます。
サミーは、淡く白い光を見つめます。
何か大事なことを忘れている ・・・
しかし ・・・それが何か分からない ・・・
前にも同じような事が ・・・みんなと逸れて ・・・
「何か?・・・大事なことを忘れているような気がするんだ!」
サミーが、白い霧で覆われている空を見上げながら言います。
「大事なこと?」
「そう! とても大事なことなのに ・・・
でも ・・・ それが何なのか ・・・
どうしても思い出せない! 白い煙が邪魔をして ・・・」
~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~◯。~
一話 青い海の魔法の謎
(偶然の出会い)
「あははははーーーっ ・・・!」
楽しそうな明るい笑い声が ・・・
「きゃーーーっ ・・・!」
おとうふ山の渓谷の間から響いてきます。
「カッパー! 早過ぎーっ!」
ミロロの元気な声が聞こえます。
「このまま、海までいくぞーっ!」
サミーも、大きな声で叫んでいます。
おとうふ山の奥深くに、木々の生い茂る剣谷があります。
その上流の澄んだ川に、泳ぎの上手な河童のお化けのカッパーが住んでいます。
サミーとミロロは、小さな頃からカッパーに泳ぎを教えてもらって、
とっても仲よしです。
そのカッパーの、背中の甲羅に捕まって、
サミーとシュンソク、ミロロとイグサは、川の流れに乗って下っています。
また、学校へ行く前に、ちょっと道草を ・・・
お裁縫学校の担任のハッサミーナ先生が見たら ・・・
卒倒しそうな光景です。
川幅が、だんだん広がり川の水も、しょっぱくなってきました。
そして、大きな波が打ち寄せる青く美しい海まで流れてきました。
サンサンと輝く太陽の下で ・・・
三人と二足は、大はしゃぎです。
引いては打ち寄せる波と遊びながら、明るい声が響きます。
サミーの自慢の鋏と笑顔が、太陽の輝きを反射して眩しい光を放ちます。
それでも ・・・そろそろ ・・・
ハッサミーナ先生の、真っ赤に怒った顔が浮かぶので、
ミロロの元気な声がサミーを呼びます。
「サミー! 学校へ行くよーっ!」
「分かったー!」
波打ち際で遊んでいたサミーが、戻ろうとすると ・・・
ピカ ピカ ピカ ピカ
何かが、光っています。
ピカ ピカ ピカ ピカ
白い淡い輝きです。
ピカ ピカ ピカ ピカ
今まで、気が付かなかったのに ・・・
ピカ ピカ ピカ ピカ
突然、輝き出したように ・・・
偶然 ・・・小さな光に気が付きました。
「何だー?」
淡い白色の真珠が、一生懸命に光を放っていました。
サミーは、小さな真珠を拾うと、手のひらの上に載せて転がします。
「小さくて、可愛いな~!」
そう言うと、ポケットに入れて走り出しました。
「早く、早く! 学校に遅れちゃうわーっ!」
ミロロの呼ぶ、大きな声がする方へ ・・・
~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~
ザブ~ン サラサラサラ ・・・
美しい浜辺の七色の砂が ・・・
ザブ~ン サラサラサラ ・・・
透明な波に揺られて、行ったり来たり ・・・
ザブ~ン サラサラサラ ・・・
浜辺で暮らす、小さな生き物達が ・・・
ザブ~ン サラサラサラ ・・・
波の合間に、行ったり来たり ・・・
ミロロ達は、小さい頃から家族や仲間と
お裁縫箱の国の南の方角にある、青く美しい海によく遊びに行きました。
宝石のように輝くエメラルドグリーンの海には、
白い菊の花のように咲く華珊瑚や情熱の花カンナのような黄色のキサンゴ
胡蝶草のような赤や緑のサンゴ礁が広がっています。
紫やオレンジ色のイソギンチャクが、珊瑚の周りに群がり
美しい海のお花畑を作り出しています。
広くて遠浅な浜辺には ・・・
七色に輝く虹の砂が日の光を浴びて輝いています。
昔から伝わる古~い伝説に ・・・
美しい天女様が、荒れ狂う海神様の怒りを鎮める為に、
身に付けていた七色の宝石を海に捧げたそうです。
すると ・・・天から七色の雨が静かに降り始め、
七日七晩荒れ狂っていた海は、八日目の朝に治まり
日の出と共に雨が上がると、透き通るような美しい海と
七色の宝石のような砂浜が、輝いていたそうです。
そんな不思議な虹の砂の伝説がある砂浜で ・・・
「きゃ~っ! 冷た~い!」
打ち寄せる波に濡れながら ・・・
「あっ! そっちそっち!」
イソギンチャクに隠れるクマノミを追い掛けたり ・・・
「逃げ足が速いよ~!」
岩の影に隠れて出て来ないエビやカニを突いたり ・・・
「うわーっ! 取れねぇーっ!」
透明なユウレイクラゲに張り付かれたり ・・・
ミロロとカタンとマチバとヌッキーそしてサミーの5人は、
時間も忘れて幼い日々を毎日のように過ごしていました。
そんなある日 ・・・
サミーは、白い小さな貝殻が網に絡まって、
岩の間に挟まっているのを見つけました。
「かわいそうに ・・・」
そう言うと、サミーは自慢の鋏で網を切って助けてあげました。
「アコヤガイか? まだ小さいな! 大きくなれよーっ!」
と言って、青い美しい海に投げました。
サミーの鋏と笑顔が、太陽神のように眩しく輝いていました。
パールスノーの伝説