六話 金の雛が初めて見たものは・・・?(前編)
リーン リリーン リーン リリーン
美しい ・・・ 音色が聞こえます ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
懐かしい ・・・音 ・・・なぜ ・・・?
リーン リリーン リーン リリーン
なぜ ・・・ 懐かしいの ・・・?
リーン リリーン リーン リリーン
リリが ・・・ 不思議に思っていると ・・・
「わぁ~っ! 綺麗 ・・・」
光の国の美しい花園から、大勢の妖精達の歓声が聞こえます。
気が付くと ・・・リリは、お花畑に立っています ・・・
花の妖精の中間達が ・・・周りにいます ・・・
マリー ・・・ ガーラ ・・・ ローズ ・・・
みんな笑顔で ・・・
光の国の澄みきった美しい青空を見上げています ・・・
そして ・・・
ボンボの周りには ・・・
光の国中の妖精たちで ・・・いっぱい ・・・ です ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
待って ・・・ いたのよ ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
ずーっと ・・・ 待っていてのよ ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
美しい音色と共に ・・・虹色の光のリングが現れ ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
光り輝く ・・・ 女神様が ・・・
「わぁーっ! 美しい ~ ・・・」
妖精たちの歓声が ・・・ 辺り一面に響き渡ります ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
待っていたのよ ・・・ この日を ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
金の果実が ・・・ 熟して ・・・ 卵が産まれるのを ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
ずーっと ・・・
リーン リリーン リーン リリーン
次は ・・・ 黄金の光のリングが ・・・ 現れて ・・・
王様の ・・・ 光の国の ・・・ 王様の ・・・
ポツン
「えっ ・・・ ?」
ポツン ポツン
「何 ・・・?」
額に、冷たいものが ・・・
ポツン ポツン ポツン
「雨 ・・・?」
ポツン ポツン ポツン ポツン
「やめて ・・・? 光の国に ・・・ 雨は降らないわ ・・・」
ポタ
「やめて!」
ポタ ポタ
「やめて! って ・・・言ってるでしょう!」
顔中に冷たいものが ・・・
ポタ ポタ ポタ
「雨は降らないの! 邪魔をしないで ・・・!」
ポタ ポタ ポタ ポタ
「今 ・・・ 王様が ・・・光の国の ・・・」
「あっ! 気が付いたみたいよ!」
女の子の声が聞こえます。
「わ~っ! 良かったわ~!」
別の女の子の声が聞こえます。
リリは ・・・まだ、頭の中がぼうっと、しています。
ゆっくり ・・・目を開けると ・・・
女の子が二人 ・・・
同じ顔をした男の子が二人 ・・・
小さな女の子が一人 ・・・
顔のない子が一人 ・・・???
「えーっ!!」
一気に目が覚めます。
そして ・・・ もう一度、よく見ると ・・・
女の子が二人 ・・・
同じ顔をした男の子が二人 ・・・
小さな女の子が一人 ・・・
そして ・・・
もう一人 ・・・ 顔もないのに ・・・ニヤ~ッ と、笑いました。
「キャ~ッ!!!」
リリの悲鳴で ・・・
隣に寝て居たココも、意識が戻り始めました。
ココも ・・・まだ、頭がぼうっとしています。
「あらら~! こっちの子も、気が付いたみたいねえ~」
優しそうな女の人の声が、聞こえて来ました。
額に ・・・ 冷たいものが、当たります・・・
あっ! 綺麗な ・・・白い手 ・・・細い指 ・・・
「大丈夫かえ~ 気が付いた~かえ~?」 と ・・・
顔を近づけて ・・・ 声を掛けてきます。
うわ~っ! 真っ白な胸元 ・・・ うなじ ・・・
細い首 ・・・ 首 ・・・ 首 ・・・ 首 ? ・・・???
「えーっ!!?」
ココも ・・・ 一気に目が覚めます。
どこまで行っても ・・・ 首だけなのです。
すると ・・・
「大丈夫かえ~」 と ・・・ 美しい女の人が ・・・
ココの顔の近くで、心配しています。
目が合うと ・・・ニコッと微笑みました。
よく見ると ・・・ 女の人の顔から下は ・・・ 又も ・・・
首 ・・・ 首 ・・・ 首 ・・・
どこまで行っても、首だけなのです。
「キャーッ!!!」
「ホホホ ・・・ 今時、こんな原始的な驚かし方に驚く子なんて
何処にもいやしない ・・・ホホホ ・・・面白いねえ~」
「ノッペ! 六ベえ! そんなに驚かしちゃあ ダメよ!」
奥から、おやつを持って来た針山母さんが二人を窘めます。
「六べえ ・・・? 男なの ・・・・?」
又も ・・・びっくり するココとリリです。
のっぺら坊の顔なしお化けのノッペと、ろくろ首の六ベえの
愉快な挨拶なのです。
お裁縫箱の家から、大きな笑い声が聞こえている頃 ・・・
真っ直ぐな野菜畑の真ん中では ・・・?
「この勢いじゃ~地面にぶつかってしまいそうじゃあ~」
ものさし爺さんが大きな声で叫びます。
「お~い! チョクチョク ・・・もっと竿を高く伸ばしてくれ~」
「は~い! お爺さん」
金の果実を吊るしてある竹竿を、チョクチョクが引っ張ると ・・・
グ~ンと、空高く伸びて行きます。
そして ・・・
ピッピが付けてくれた闇の炎が、金の果実を暖めます。
金の果実は、一層輝きを増します。
元気よく回転しながら動き回るので、竹竿が右に左にしなります。
「元気じゃな~」
巻尺爺さんが、感心して金の果実に見とれています。
火炎魔大王のお蔭で、闇の扉を抜けて来た大勢の妖魔達も
金の果実の動きに合わせ ・・・ 右に ・・・左に ・・・
顔を動かしながら、頷きます。
「どうして ・・・ 果実が動き回るんじゃ~?」
「さあ~? 見た事がないなぁ~」
妖魔達も、首を傾げます。
「美味しいのかなぁ~?」
「はあ~? 食べた事がないなぁ~」
妖魔達も、頷きます。
「何で ・・・? こんなに光っているんじゃ~?」
「ふーっ! 分からん ・・・? 不思議なことじゃ ・・・?」
金の果実が ・・・あっち ・・・こっち ・・・動き回るので
二人のお爺さんも、妖魔達も、目が回りそうです。
空中の光のリングの中から ・・・
声の妖精ボイスは、不思議な光景を見ています。
竹竿に吊らされて、光り輝いている金の果実を
大勢の闇の国の妖魔が、何重にも囲んで ・・・
これから、どうなるのかと ・・・?
心配して、見守っているのです。
「おかしい ・・・」
動き回る金の果実を、じーっと見てボイスは考え込みます。
「何で ・・・? 光の国の妖精が、ここにいるんだ ・・・?」
光の国を後にして ・・・
長い間、冒険の旅をしていたボイスは
金の果実の事を知りません。
しかし ・・・
光の国の大きな木が、光の果実を実らせて
光の卵が、産まれるのは知っています。
ピッピの付けた、闇の国の炎に暖められ
金の果実は、ますます光り輝き ・・・勢いよく回転しています。
「金色 ・・・黄金の色 ・・・まさか ・・・?王様の卵 ・・・?」
相変わらず ・・・
お裁縫箱の家から ・・・大きな笑い声が聞こえて来ます。
「ふーっ! 呑気な ・・・光の妖精だなぁ~」
ココとリリは、針山母さんが出してくれた
お花の形のお菓子に夢中 ・・・
「こんな形の ・・・お花は、見た事がないわ」
花の妖精のリリは、大きなまなこで ・・・びっくりしています。
「とても ・・・綺麗ね」
ココも、お花のお菓子に見とれています。
すると ・・・
「おい!」
ん・・・? 頭の中で声がします。
「産まれるぞ!」
え ・・・? 又 ・・・頭の中で声がします。
「産まれる ・・・?」
二人は、目を合わせます。
「あーっ!」
二人は、大きな声を上げます。
「金の果実は ・・・?」
「とても楽しみね! どんな味がするのかしら ・・・?」
針山母さんが、嬉しそうに ・・・にっこり!
良く見ると ・・・テーブルの上に ・・・
大きな ・・・まな板と包丁が ・・・
ココとリリは、大慌て ・・・
「違うの! 食べられないわ! 卵が産まれるの ・・・!」
と、 言うと ・・・
大急ぎで、お裁縫箱の家を飛び出して行きました。
七話 金の雛が初めてみたものは ・・・?(後編)へ・・・続く・・・